【今日の日付と呼んだ範囲】2022年10月15日、全56話読了
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【タイトル】 そこにカイロスはいるか?
【作者】 竹内すくね 先生
【作品情報】 41万字、完結済み
【作品スタイル】 男性主人公1人称の淡々とした描写で綴るループもの
【高評価ポイント】
読みやすい死にループ ★★★★★
優秀な巻き込まれキャラたち ★★★★★
恋愛模様も良いスパイス ★★★★★
【一行感想】 1日という比較的短い時間でのループを濃密に描ききった名作
【感想】
ちょっと前にリゼロを読み切ったってこともあり、なろうループ名作のこの作品も読み直したくなった。総合評価12,793ptっていうのは最近の数字としてはさほど高くないわけだけど、まあ2009年当時のなろうでループものでこの数字ってのは結構すごいんじゃなかろうか。まあ、数字がどうであろうともこの作品が名作だってことには変わりがないわけで。
ともあれ、ループものって大好きなんですよね。同じ場面に前回の記憶を残したまま挑戦することで、以前よりも先に進むことに成功してみたり、全体の結果を変えるために異なった対応を選択してみたり、はたまたその場面に突入することを避けてみたり……いろんなパターンを組み合わせることで無限なまでのストーリーが紡げるし、設定もごりごりとつっこむことができる。もちろんただやり直せるってだけだと話の緊張感がなくなっちゃうわけで、大概の場合はループの発動条件は主人公の死に設定されていて、その恐ろしく苦しい死を避けるために主人公はそう簡単にループの力に頼るわけにもいかない……なんてあたりが王道の設定かな?
この『そこにカイロスはいるか?』もそんな死にループ作品なんだけど、主人公が我が薄いこともあってか死にループの辛さのような描写はとても薄い作品だと思う。死ぬところの描写もさほど苦しさ溢れるような表現じゃないし、作者様が意図したものかは知らないけれどかなり死にループへの忌避感は少なめの作品だと思う。だからか主人公は割とガスガス死んでいくわけなんだけど……それで緊張感や面白さが抜けてしまうってわけじゃないのがこの作品の優れたところ。
1日って比較的短い時間の中で様々な死に所が準備されてるから、どこで何が襲いかかってくるかわからないような緊張感がしっかりある。実際にそれで主人公は何度も死んでいくわけだけど、その対処法を一緒に考えてしまうようなドキドキ感っていうのかな。死に方や対処法のバラエティがいいってことなんだろうか。
そんな死にループの中で主にヒロインキャラたちが増えていくわけなんだけど、このヒロインキャラたちの個性や動きや生き死にも緊張感を増してくれるよね。主人公はさほどそういうのを気にするタイプじゃなさそうだったけど、読者としては気になってしまうわけで。この辺りも緊張感の持続にいい具合に効いてたかな。
そんなヒロインたちの恋愛模様もまたこれが良い感じなんだなー。なんていうかヒロイン側から気持ちの系が伸びて絡みついているのに、なろうらしい鈍感系主人公には効果が及ぼされない。ループと戦う中でその絡み合いがどう解れていくのか気になって、目が離せなくなってしまうのだ。結末もとても良い具合。
久しぶりに読んだとはいえ、もうたぶん読み直し10回目くらいになるからある程度の流れは覚えてたわけだけど……たぶん最初に読んだ時はもっと驚きと面白さを感じながら一気読みしたんじゃないかなー。あの頃ならもうちょっとスッキリとしたレビューが書けたんじゃないかって気がしないでもない。
とまれ……ループものがちょっとでも好きならおすすめできる作品だし、特に興味のない人でも普通に楽しめる作品だと思う。描写は比較的軽ライトなので、40万字の文量の割には結構サクッと読めると思う。ここまで辿り着いた皆様には、是非ともご一読いただきたい名作。
–No.PD.
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